熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月19日建築美認知心理学における〈美〉へのアプローチ Ⅳ幾何学的な対称性のように、一目で分かる〈よさ〉や〈美しさ〉だけではなく、図形やパタンに潜在的に含まれている構造的秩序が〈よさ〉や〈美しさ〉に影響を与える可能性については、すでに黄金比の項で触れたが、隠れた秩序による美を議論する方法論の1つに、フラクタル解析からのアプローチが...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月18日建築美認知心理学における〈美〉へのアプローチ Ⅲ20世紀には、ゲシュタルト心理学とは別に、フェヒナーの流れを汲んだ実験美学の展開も現れる。 アメリカの数学者ジョージ・デビット・バーコフ( George David Birkhoff、1884-1944)は、美を数式によって定義する試み(1932)を行う。...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月17日建築美認知心理学における〈美〉へのアプローチ Ⅱ一方、黄金比がフラクタル構造を有していることに注目した報告もある。 フラクタル構造とは、相似した図形やパタンがスケールを変えて、図形内に繰り返し含まれる場合を言うが、フラクタル構造を有する形態は図形内に繰り返しを含むため、処理負荷が低いとも考えられる。そのため、フラクタル構...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月11日建築美認知心理学における〈美〉へのアプローチ Ⅰ「美学」の章でも見てきたように、19世紀後半に、古代ギリシ ア 以来の、〈美〉を思弁的に語る 「上からの美学(形而上学)」に対し、人々が実際に感じている美的印象を実験や調査によって検証する「下からの美学」が登場する。この考え方と方法論を提案したのが、ドイツの物理学者フェヒナ...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月5日美学における美へのアプローチ - 現代の美学-「美学」の分野において〈美〉とは何かを問う「純粋美学」 は1960 年代以降、明らかに衰退していると言える。 来日経験のあるドイツの美学者ヘルムート・クーン(Helmut Kuhn)が 1962年のある論文の中で、「美学の祖国ドイツにおいて美学そのものがほとんど捨て去られ、...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月3日美学における美へのアプローチ - 近代「美の独立」Ⅳ-いまひとつ重要なのは進化論の発見であろう。 これは中世までヨーロッパを席巻してきたキリスト教における、すべての生物を神が創ったという聖書の天地創造説を否定するものであり、生物の進化も人類の発生も、すべて遺伝と適者生存という過程によって自然発生的に起こった現象にすぎないとする...
熊本県立大学 髙橋 浩伸2020年8月3日美学における美へのアプローチ - 近代「美の独立」Ⅲ-これまで見てきたように、 近代における「美学」 が 、時には美術を問題にしたり、人間の美的感情を問題にしながら、美とは何であるかを哲学的に分析する学であることは明らかだが、更に一般的な意味における〈美しいもの〉ばかりでなく、〈崇高なもの〉〈悲哀に満ちたもの〉〈滑稽なもの〉〈...