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建築家の気概Ⅱ_村野藤吾

『様式の上にあれ!

 様式に関する一切の因襲から超然たれ!

 吾等は様式の上に只感省の能力しかもたないものである。だから、既に過ぎ去つた様式でも又現代の様式でも、様式という様式の、

 一切の既定事実の模写や、再現や、復活などと云ふ、とらわれたる行為を止せ!』


建築と社会、1919.05


大正8 年(1919)5 月、『建築と社会』誌に掲載された村野藤吾の論文「様式の上にあれ」の冒頭部分。

この大正8 年は、堀口捨己らが分離派宣言を行う前年に当たる。


この、様式の「上」を“on”すなわち「それに接して、その表面上に」だと誤解してはいけない。

“above”すなわち「それ以上、超越して」の意味である。



ただただ、このひたむきさ、あふれるばかりの気概には圧倒されるばかり。


先の堀口捨巳らと合わせ明治の開国以来、自分たちが「日本を創る」という明治・大正の時代のこの気概・自負心には、鳥肌がたつ。



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