慧眼 Ⅱ
アメリカの社会心理学者デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって提唱された、優越の錯覚という認知バイアスに関する仮説に「ダニングクルーガー効果」がある。
認知バイアスとは、これまでの経験や、それに基づく先入観、直感などで生じる非合理的な心理現象を指し、ダニングとクルーガーは、優越の錯覚を生み出す心理学的現象の研究において、自身の能力が低いことを認識する困難さが過剰な自己評価につながる、という認知バイアスの一形態を示した。
更に、ダニングクルーガー効果は、自信と知識・能力の相関関係を表す下記図の曲線で説明することも可能。
下記図の、知識や能力はないのに自信だけはある「馬鹿の山」がダニングクルーガー効果に該当。自信と知識・能力の相関関係は下記の経過を辿るのが一般的とされる。
1. 「馬鹿の山」多少の知識や能力が身に着き自信に満ち溢れている状態
2. 「絶望の谷」知識や能力の不足を実感し自信を失っている状態
3. 「啓蒙の坂」成長を実感して自信を持ち始めている状態
4. 「継続の台地」成熟して正確な自己評価が行えるようになった状態
なお、ダニングとクルーガーは2000年、優越の錯覚を生み出す認知バイアスに関する1999年の論文「Unskilled and Unaware of It(未熟で無自覚)」で、人々を笑わせ考えさせられる研究に贈られるイグノーベル賞の心理学賞を受賞。
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