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業
なすべきこと。仕事。
2022年度
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学外ゼミ
茶室「閑雲亭」3Dレーザースキャナー実測調査
2022.07.15

日本建築における「茶室建築」は、日本美を象徴する特徴的空間構成を持つ。限定された極小な内部空間は、着座の文化を持つ日本人を静謐で心地よい時間へと導く。500年以上に渡り継承されてきたこの日本美の極致とも言える空間を、次世代へ継承し、現代の新たな視点で考えるために、髙橋研究室では現代に残る茶室の調査を行っている。
20220715(Fri)髙橋研究室ゼミ生全員で長崎県平戸市内にある茶室「閑雲亭」の3Dレーザースキャナー実測調査へ。
肥前平戸藩主であり、松浦氏26代当主である松浦鎮(しげ)信(のぶ)(1549-1641)は、数寄大名として名高く、鎮信流(武家-大名茶道の一派)の祖であった。松浦家は代々茶の湯を愛好し、37代松浦詮(あきら)(号:心月、1840-1908)は1893年(明治26年)に「閑雲亭」を建設。ただし現存する茶室は1987年の台風で倒壊し、翌1988年に再建されたものである。2006年に登録有形文化財(建造物)に指定された。
この「閑雲亭」は現在の松浦資料博物館(旧松浦詮邸(鶴ケ崎邸))の西側、港を望む見晴らしの良い高台にあり、梁行二間、桁行三間の寄棟造、茅葺の木造平屋建ての草庵茶室の形式をとる。台風被害にあう前は、屋根の表面を杉板で蔽い、割竹で抑えていたようだが、修復後は少し趣を変えている。
大きく張り出した軒を枝付の曲木などの自然木の柱で支え、北側の屋根は葺きおろされ、雪隠と手水場、躙り口が配置されている。茶室の四辺はほぼ正確に東西南北に正対し、北側を除く三方は大きく開口部を設けている。
内部空間は、半間の枡床をもつ四畳の茶室(四畳半の隅半畳を床にした間取り)と、六畳の座敷からなり、亭主の座る点前畳の天井のみに下がり天井を張り、他は屋根裏表しとすることで、一般的な茶室空間にはない開放的な空間を演出している。その上この茶室は、茅葺であるため、屋根勾配が急となり、その分屋根裏表しの内部天井高が高くなっている。このような茶室建築に見られる点前畳の天井を一段下げ、下がり天井とし、他を掛込天井(屋根裏の構成を室内に見せて、傾斜天井となっているもの)がよく見られるが、この下がり天井自体、亭主の謙譲の気持ちを表していると言われている。
南側に位置する六畳の座敷は、東西面全面の壁面を掃き出し障子とし、南面全面も腰障子を立て、開け放つと港の向こうに平戸城が望める開放感が特徴的である。
茶室北面東側に板戸引き違いの躙り口が設けられ、その上には下地窓が切ってあり、室内には壁に折釘を打ち掛障子が掛けたられているだけで、南や東面に比べ閉鎖的である。むしろこのような閉鎖性こそ茶室空間を特徴づけるものと言えようが、この閑雲亭の開放的空間構成は珍しい。
茶室西側一畳が手前座で炉は向切。床柱は、上部が三つに枝分かれした曲木を用い、水平に伸びた枝が落掛となっている。床と水屋堺には上部に垂れ壁を設け、下部を吹抜き、不揃いの高さの竹を並べ貫で支えている。床の背後(西側)には水屋棚が設えられている。
茶室と座敷は襖四本立てだったようだが、現在は取り外されている。小屋裏は叉首組みの小屋組みで素朴ながら独特の世界観を醸し出している。
礎石や立派な大きさの沓脱石、路地石は明治期の当初のままらしく、粗々しさや力強さを感じる。
この「閑雲亭」は、これまでに見た京都などの近畿圏で見られる利休を頂点とした、わびさびの空間とは趣が違い、本来日本建築に見られる開放的な空間構成であり、それに加え近代という時代の明るさや自由な発想が反映されたものと言えよう。
学外ゼミ
日本建築学会主催 第63回全国大学・高専卒業設計展示会
2022.06.24


学外ゼミにて、日本建築学会主催 第63回全国大学・高専卒業設計展示会(熊本大学工学部百周年記念館)へ行ってきました。
この中には、本学 環境共生学部 居住環境学科 浜松凜君(2021年度卒:髙橋研究室)の卒業設計作品が展示されています。
九州地方の大学生の作品はもちろんのこと、全国の学生たちの作品を見る機会は限られてくるため、学生たち(髙橋研究室4年生)にとっては非常に刺激的で参考になったかと思います。
また、ゼミの先輩の作品が、全国規模での作品展において、どれほどの位置づけにあるかのどをすり合わせる又とない機会だったと思います。
今年のゼミ生たちの作品が楽しみです。
学外ゼミ
不知火美術館・図書館
2022.04.25




設計:北川原温氏によって1999年竣工。2022年4月、改修工事を終え、新たにリニューアルオープンした不知火美術館・図書館を 髙橋研究室ゼミ生たちと見学へ。
議論の中心は、設計者が「海上蜃気楼現象「不知火」をイメージした、光を微妙に反射するように設計したというアルミルーバー」の是非。このルーバーによってこそ、この建築は象徴性を持ち、アイデンティティを主張するが、「不知火」のイメージがわきにくいとの意見が多い。かといってこの表皮(ルーバー)が無いと、この建築の価値が激減するであろうことは、学生たちの目にも明らかなようで、建築の分野における近代の装飾論争や、現代の脱構築主義における表皮の多用を学ぶ学生にとって、「自分だったらどうデザインするのか?」を問う貴重な時間となった。当然このルーバーは、いわゆるコルビジェのブリーズドソレイユのごとき機能性を有し、さらに外壁と表皮の間のバッファースペースは、コリドール的機能性を有し、外皮の必要性を訴えている。
内部空間は、東西に長い単純な矩形平面であるものの、中央のアプローチ正面に受付カウンターを配し、左右で美術館と図書館の機能分けを行っており、非常にシンプルでわかりやすい空間構成となっている。
入口右手の図書館は、入ってすぐの空間がロビー的開放感のある空間が設定され、その一部にスターバックスが入店し、近年多く見られるようななった図書館における喫茶コーナーの併設が見られ、より市民に開放された界隈性が、解放された明るい空間となっている。さらに奥に進むと次第に、静けさやプライベート性が増し、まさに「図書館」といった静寂性に包まれ、先の界隈性との対比が心地よい。
表皮の是非はどうであれ、このような心地の良い空間が創造されたことは、この地域の住民にとって幸運なことと言えるであろう。
このような空間で、毎回ゼミを行いたいという気持ちは、私のみならず、ゼミ生全員が大きく同意した。
2021年度
茶室「清恵庵」調査
茶室「清恵庵」の3次元情報データ化と数理論的解析
2021.11.26





近年頻発する未曾有の災害は、我々日本人の過去の記憶や歴史を根こそぎなぎ倒し、一瞬にしてすべてを廃墟としてしまう。このような災害に我々人類は、未だ為す術を見い出せていない。
ならばこのような圧倒的な自然災害に備え、早急に日本建築の歴史的・文化的遺産の測量や記録を克明にデータベース化し、有事後に再建可能な資料を作成することこそ、人類の歴史や文化を継承するという意味で非常に重要であろう。
本研究における目的であるが、まず一つは日本美の象徴とされる「茶室建築」に関して三次元レーザースキャナーを用いた実測調査を行い【茶室建築の三次元情報データ化】することで、有事の自然災害に備えることにある。更に2つ目の目的として、これらの三次元情報データを基に、複雑系科学の視点で日本の美に関して数理論的アプローチを行い【日本美の数理論的解析】を行い、日本人の美意識の一断面を科学的根拠と共に示すものである。
茶室「清恵庵」は、日本近代における茶室建築の第一人者でもあり著名な研究者でもあった、堀口捨己氏と堀口氏の高弟で数寄屋建築の第一人者、早川正夫氏によるもので、1973年竣工した。
現在、歴史的・文化的遺産の測量や記録を行った文化財保護委員会編の『国宝・重要文化財( 建造物) 実測図集』などが見られるが、これらはアナログデータであり、寸法表記も尺貫法表記と、時代遅れの感が否めない。
幸いにも清恵庵は設計図面が現存しているため、【茶室建築の三次元情報データ化】の必要はないとも考えられるが、建設時の設計図との検証ができることを考えると、このような研究の端緒としては、最適と言える。
茶室「清恵庵」は、佐賀城の広い南濠に面した地に建てられた。
蛇足ながら設計者の堀口捨己氏は、国宝茶室「如庵」(犬山市:織田信長の弟、織田有楽斎が元和4年(1619)に建築した茶室)の移築を指揮したことでも知られる。
茶室内部は、利休好み四畳半の典型的な形を基本とし、ほぼ東西南北に正対してる。「躙り口」は東面の北側隅に配され、その正面の西面北側に「床」が配置されている。
調査結果、分析は、・・・Continue・・・
2019年度
2019年度 熊本県立大学 環境共生学部 卒業設計展
「熊本の未来は描けたか -熊本県立大学 髙橋研究室の挑戦-」
2020.02.15
研究成果発表会



2020年2月15日(土)10:00から熊本県立大学 大学会館(学食)において、熊本県立大学 環境共生学部 卒業設計展「熊本の未来は描けたか -熊本県立大学 髙橋研究室の挑戦-」を開催しました。
来場者計67名(一般他39名)を数え、熊本県内外の大学生、高校生をはじめ、遠くは宮崎、福岡からも参加頂きました。また、県内建築関係や設計事務所等の社会人、卒業生の方々の参加も見られ、7時間に及ぶ卒業設計展は、盛況のうちに終了しました。
ご父兄や、一般の参加者の中には、熊本県立大学において、このような建築設計・デザインに関する研究・教育がなされているのをご存じない方もいらっしゃり、今回のような研究成果報告会を継続的に開催していくことの必要性を感じました。
来場して頂いた高校生や大学生、一般の方々の真剣なまなざしと、時間をかけ作品の意図を読み解こうとする真摯な姿に、今回の卒業設計展の開催の意義を感じました。
来場者の複数の方から、1日限りの開催ではもったいないとの意見もあり、次年度からは1週間程度の展示・開催を検討し、実施していこうと考えています。
この研究成果報告会を通し、熊本県立大学において建築設計・デザインの教育・研究の成果が示せたことは、関係者の皆様のご協力とご尽力なしにはできなかったことであり、ここで改めて感謝の意を表したいと思います。



11月23日(土)13:30から、2019年度熊本県立大学公開講演会『建築家 小川晋一氏 講演会:MINIMAL is MAXIMAL』が本学 小ホールにおいて 開催されました。
会場内はほぼ満員となり、熊本県内外の大学生、高校生はもとより、遠くは広島からの大学生も参加して頂きました。また、建築関係や設計事務所等の社会人の方々の参加も見られ、約2時間に及ぶ講演と質疑応答は、あっという間に終了しました。
講演後の質疑応答に関しては、学生なりの今の自分たちの考えを素直に、小川先生にぶつける真剣なまなざしに溢れていました。
この講演会を通し、学生たちは建築に対する考え方やアプローチの仕方など、新たな視点で今後の大学教育における授業(デザイン実習等)に生かせることと思います。また教員の立場からも、国内外で活躍されている著名な建築家をお招きし、講演頂くことは、日々進化を続ける建築界の変化を肌で感じ、それを学生たち次の世代に伝えていく意味での貴重な時間であろうと考えます。
公開講演会
熊本県立大学公開講演会 『建築家 小川晋一氏 講演会』開催
2019.11.23
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建物見学
日本インテリア学会第31回大会(広島) 見学会
2019.10.26








日本インテリア学会第31回大会(広島)に合わせ見学会が開催され、以下の建築・インテリアに関する視察・調査を行いました。
平和記念聖堂(設計:村野藤吾)重要文化財
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聖堂は鉄筋コンクリート造3階建、地下1階、三廊式の教会堂で、1954年竣工。
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鉄筋コンクリート打ち放しの柱・梁間に、中空のコンクリートブロックを充填した外観は、コンクリートの打ち継ぎ部や目地に施工の粗さが見受けられるが、かえってそのことが時代を反映しており、質素ながら温かみのある質感に感じられる。
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終戦後の日本建築界の幕開けを告げる最大級の設計コンペとして開催され、1等は該当者なしだった。しかしそのコンペの審査員であった村野藤吾氏が自ら設計することになったという、いわくつきの建築物である。
-
コンペの経緯や、時代背景を考えると、建設に関しては経済的、社会的にも相当の苦労があったであろうことは容易に想像される。そのことに思いをはせると、教会建築という神聖な信仰の場であることと合わせても、自然と謙虚な気持ちになってしまう。
広島市営基町高層アパート(設計:大高正人)
-
通称:原爆スラム解消を目的に建設された。戦後、基町地区にバラックの不法住宅が建ち始め、当初は被爆前から住んでいた住民のみだったが、他地区の再開発などによる立ち退きなどで、ここ基町周辺に集結した住民は、1960年頃には900軒の不法建築が建っていたとされる。
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コルビジェの提唱した近代建築の五原則に倣った「ピロティ」「屋上庭園」は、過ぎ去り日の情熱や強い意志を感じさせると同時に、現代的空間構成からは少し取り残された感が色濃く見える。
おりづるタワー(設計:三分一博志)
-
この地域の夏の風の流れを考慮したというルーバー・ウインドキャッチャーの外観が特徴的。
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屋上階は、展望スペース「ひろしまの丘」が整備され、吹きさらしの空間は風を感じながら広島市内を一望できたり、座って歓談したりでき、心地よい空間となっている。
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建物東側には、1階から屋上まで続くスパイラルスロープ「散歩坂」が設置され、一般客も自由に利用することが出来る。さらにスロープの横に整備された滑り台は、避難用だけでは無く、大人から子供まで、楽しめる空間となっている。
原爆ドーム
広島原爆死没者追悼平和祈念館(設計:丹下健三)
広島平和祈念資料館・平和記念公園(設計:丹下健三)
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言わずと知れた、丹下健三氏設計による広島平和祈念資料館・平和記念公園。1949年の建築設計コンペで、丹下健三氏が1等を獲得した。
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市の中央を東西に走る予定の100メートル道路に垂直に交わるかたちで、平和祈念資料館、広場、慰霊碑、原爆ドームを一本の軸線で結ぶというデザイン案が評価された。
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この丹下氏の「平和祈念資料館~原爆ドーム」への軸線の発見こそが、原爆ドームの存続を決定づけ、今日われわれが目にする、平和の象徴としての空間が想像されたといえる。
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平和祈念資料館は、丹下建築の真骨頂ともいえる、コルビジェの意思を受け継ぐ近代建築の傑作として、21世紀の現代においても、決してひけを取らない名建築である。
・・・本当に美しい。
デザインあ展 in KUMAMOTO / 熊本市現代美術館
美術館見学
2019.09.06



こどもたちのデザイン的な思考をはぐくむテレビ番組NHK Eテレ「デザインあ」。その企画展に。
一見フリーハンドで描かれているかのような日本の家紋が、大小様々な幾何学的正円の組み合わせから形成されていることがよく理解できる。
ある限定エリアに足跡を置き、電車やダイニングを表現したインスタレーションや子供や猫、犬、ゴキブリのスケール感を表現し開口部の大きさを変えたものなど、空間を考える上で、初歩的な提案があり、興味を持った。
また、「回転寿司」ならぬ「分岐寿司」や「信号寿司」「偶然寿司」など、機能性・効率性などの価値観に限定された思考からは出てこないが、くすっと笑えるような、一見すると現代の価値観からは無駄とも考えられる余白(余裕・あそび)にこそ新たなデザイン思考の芽が見いだせるのではないかとも考えた。
デザインに関する初等教育として、このような企画は非常に意義あることであろう。

建築コンペ
審査員賞(鵜飼哲矢賞)』 受賞
2019.08.22


2019年度髙橋研究室ゼミ
(学部4年:嶋村友佑、川口真輝、永野晃大、井芹ななみ、堀川咲)の建築設計競技作品が入賞しました。
主催 :日本建築学会
設計競技名:建築文化週間 学生グランプリ2019 「銀茶会の茶席」
受賞名 :審査員賞(鵜飼哲矢賞)』 受賞
日本建築学会主催 建築文化週間学生グランプリ2019「銀茶会の茶席」第一次審査結果
<入選>1/1模型制作
No.5 「透綾 -レシプロカル構造による折畳み式可動茶席」上間梨乃ほか15名:武庫川女子大学大学院
No.19 「織折庵」重村浩槻ほか6名:慶應義塾大学大学院/慶應義塾大学
No.23 「哀糸豪竹」植木祐地ほか2名:東京大学大学院
No.48 「竹編 -竹と空気の綾文様」須釜崇弘ほか2名:東京理科大学大学院
<審査員賞>
○鵜飼哲矢賞:No.8 「繭」嶋村友佑ほか4名:熊本県立大学
○本阿彌守光賞:No.19 「織折庵」重村浩槻ほか6名:慶應義塾大学大学院/慶應義塾大学
○斎藤公男賞:No.22 「∞庵」幕田早紀ほか3名:千葉大学大学院/早稲田大学
○木村知弘、中村晃子賞:No.23 「哀糸豪竹」植木祐地ほか2名:東京大学大学院
○原田裕季子賞:No.26 「移ろいの視差」大川裕貴ほか3名:芝浦工業大学
○濱野裕司、松田達賞:No.37 「素透籠庵」林恭平ほか2名:広島大学/広島大学大学院
○坂口裕美、風間喜一賞:No.47 「ashura」柳沼明日香ほか6名:日本大学院/日本大学
○山本豊津賞:No.48 「竹編 -竹と空気の綾文様」須釜崇弘ほか2名:東京理科大学大学院
○佐藤淳賞:No.50 「四海波庵」松田理沙ほか5名:文化学園大学
(作品番号順)
チームラボ プラネッツ TOKYO
髙橋研究室ゼミ研修
2019.08.20




2019年度髙橋研究室ゼミ生と共に、東京都豊洲にある
チームラボ プラネッツ TOKYOへ。
ホームページには『身体ごと、没入する』と題され、『アートコレクティブ・チームラボによる、超巨大な4つの作品空間を中心とした計7つの作品空間による「水に入るミュージアム」。「Body Immersive」というコンセプトの巨大な作品の中に身体ごと没入することによって、身体と作品との境界を曖昧にし、自分と世界との間にある境界の認識を揺るがす。はだしとなって、超巨大な作品空間に、他者と共に、身体ごと、圧倒的に没入する。』とある。
昨今、いわゆる建築の専門家ではない映像や写真、造形に関する現代アーティストらの創造する空間が世間を賑わせており、少なからず気にかけていた(新たな扉が開かれるような期待感と建築家ではない人々による自由なアプローチに、少なからず焦燥感を感じていたというのが実際に近い)が、今回、実際の空間を体験して感じたことは、これまでの建築家らが創造してきたいわゆる建築としての構築物(物体)そのものの規模や造形、材質や肌理による質感、光や風の導入手法などで、人々の感動を喚起していたものを、ここでは機械的・人工的に光や音、匂い、それに水や温水に直接“身体ごと、投入する”ことによって、人間の五感を直接刺激する仕掛けや演出として、視覚や聴覚、嗅覚や触覚を刺激し、非常に心地良い空間なのである。
これらの仕掛けや演出の仕組みは特に目新しいものではない。例えばディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどのテーマパークのアトラクションなどで用いられたり、美容・健康関係の医療・商業施設などではよく見られるものである。ただ、これらと違うのは、視覚的刺激を主体として「美」をコンセプトにしていると考えられるからである。テーマパークや医療・商業施設らが商業的演出や経済的効果を目的としているのに比べ、ここのコンセプトとしてあくまでアーチストによる“アート作品”と考えられる。このような考えに至ったのも、ホームページやネットの写真では感じることができず、実空間を実体験することによってのみ可能なことではないだろうか。
現代アートの旗手たちのアプローチは、非常に刺激的である。私たち建築に携わる者の範疇を軽々と超えてくる。
しかし今回の空間体験によって、空間創造の多様さとその実情が透けて見えてきた。
我々はあくまでも、建築に軸足を置き、柔軟な思考・行動をしなければならない。
しかし、軸足を動かさない勇気も必要であろう。
建築とは何か。建築に何ができるのか。
すみだ北斎美術館
髙橋研究室ゼミ研修
2019.08.20




2019年度髙橋研究室ゼミ研修
同じく、ゼミ生を伴いすみだ北斎美術館へ。
設計は妹島和世氏。2016年11月オープン。
雑誌等で気になっていたので、学生と共に視察調査。
アルミパネルによる銀色の外壁は鋭角に切り取られ、そこから館内にアプローチする。ちなみに当ゼミ生測量によれば、正面ファサードはこのアルミパネル(幅1200mm)が27列使用されている。
西沢立衛氏(SANAA)との合作、金沢21世紀美術館同様、アプローチを一箇所に限定せず、どこからでも出入りすることができ、地域に開放された美術館として、昨今の美術館建築の常套手段とも言える手法。
「公園と一体化し、スリットで分けたボリュームに裏を持たせないで地域の調和をはかる」というコンセプトらしいが、正面の公園、他3面は道路と、この街並の中での存在は少し違和感を感じてしまうのは私だけであろうか(雑誌やネットでの印象はもう少し良い印象だったが・・・)。
鋭角に切り取られたスリットは、図書室や映像室、受付などのボリュームに分けており、展示室前のホワイエ等の採光としても利用されている。
この建物の印象を決定づけるのは、マットな外観と1階アプローチ部の鋭角なスリットに集約されており、上階の展示室等は一般的な展示空間と言えるであろう。
当初の計画時における外壁は、鏡面性の素材だったということであるが、完成したものはアルミのマットな感じであり、先ほども述べたように違和感を禁じ得ない。
個人的意見ではあるが、鏡面仕上げの外壁に映る街並みによって周辺に溶け込む姿を見てみたかった。
チームラボ プラネッツ TOKYO
フィールドワーク
2019.08.09

フィールドワーク
2019.08.09
1年生を対象にした授業:FW(フィールドワーク)で、例年お邪魔している 九州芸文館(隈研吾氏設計)へ。
今年で6年目。例年、館長による建物の説明を頂いています。
有名建築家の建築空間を肌で感じ、ネットや書籍では伺い知ることができない話を直接施設関係者の口から聞くことができ、貴重な経験・体験となったことでしょう。
「デザインとは?」「誰のためのデザイン?」といった問いかけを学生自ら 考えるきっかけになればと思います。
2018年度
2019.03.03

3/3(日)
2018年度(第58回)九州支部研究発表会(会場:日本文理大学)
枯山水石庭におけるフラクタル次元に関する研究
城島由紀乃・髙橋 浩伸、日本建築学会研究報告九州支部 第58号,
pp681-684、2019年3月
2019.02.10


2/10(日)
熊本県立大学 環境共生学部 居住環境学科
卒業論文・卒業設計発表会が開催されました。
<髙橋研究室>
【卒業設計】
-
山鹿のひみつきち -廃校リノベーション-
加藤 里恵
-
心模様 -新たな結婚式場の提案-
髙濱 杏香
-
ミチの公園 -道が生む交流空間-
福住 陽太
-
折り紙のもてなし -競技場に併設するパビリオン-
古庄 澪奈
-
ふるまちのアトリエ
松本 楓
-
余白を纏う -戸建てのような集合住宅-
本井 孝汰
【卒業論文】
-
龍安寺石庭のフラクタル次元による解析と印象評価調査による日本美に関する研究
城島 由紀乃

2018.10.27

10/27(土)
熊本県立大学 環境共生学部 居住環境学科
卒業論文・卒業設計 中間発表会 が開催されました。
髙橋研究室ゼミ生の発表タイトルは以下の通り。
加藤里恵(卒業設計)
-
“にぎやか”な場所をつくるために −廃校舎の利活用について−
城島由紀乃(卒業論文)
-
枯山水石庭におけるフラクタル次元と印象評価に関する研究
高濱杏香(卒業設計)
-
スタイリッシュな空間
福住陽太(卒業設計)
-
生産的娯楽空間
古庄澪奈(卒業設計)
-
競技場に併設するパビリオン
松本楓(卒業設計)
-
ふるまちのアトリエ−河原町問屋街のシェアハウス−
本井孝汰(卒業設計)
-
戸建てのような集合住宅
2018.10.15

古庄澪奈さん(髙橋研究室4年) コンペ入選
( JAPANTEX2018 第15回インテリアデザインコンペ2018 )
2018.09.12-13


ネット上では、あたかもそこに居るような錯覚に陥いるバーチャルな技術が開発され、学生たちも実際の建築を見て歩くということが少なくなったように感じます。
私の経験上、建築は体験し感じるものという認識があり、今年も研究室ゼミ生と一緒に屋外研修へ出かけました。
【風の丘葬祭場】
言わずと知れた名建築「風の丘葬祭場」
設計は、代官山の「ヒルサイドテラス」や「幕張メッセ」
「スパイラル」「東京体育館」などで有名な日本を代表する建築家の槙文彦氏。
あいにくの曇天でしたが、この建築の持つ、「品格」や「美しさ」は、築後20年余りの時間を経ても健在で、非常に心躍るものでした。
ディテールや空間構成がさわやかで美しく、嫌味の無い、見事な建築でした。
木目模様のコンクリート打ち放しの壁は、いわゆる塗装合板によるつるつるした表面ではなく、温かさを感じさせ、まさにこの建築にぴったりといった風合いを感じさせます。
コールテン鋼パネルによる風の丘公園に面した壁は、大地との境界を示すとともに、周辺環境との融合を感じさせ建築とランドスケープの融合といった点では手本になるような空間でした。





2018年度日本建築学会大会[東北]:『被災地域と現代建築をめぐるバスツアー』
2018.09.03
日本建築学会の催しの一つとして『被災地域と現代建築をめぐるバスツアー』に参加。
7年が経過した今の被災地の状況を見学しました。
【旧大川小学校】
新北上川沿いにある旧大川小学校(石巻市立大川小学校)は内部など見学することができず、バスの中からの視察でしたが、直接震災体験していない私たちの心にも重い影を落とします。
【にっこり復興公営住宅】
【運動公園住宅】
震災によって住宅を失くした多くの住民にとっての「公営住宅」の視察。
住民や計画者などから当時の状況、計画の過程、コンセプトやテーマなど、地域住民の「思い」を地域計画や住棟計画にうまく生かされた住宅街だと感じました。
「にっこり復興公営住宅」は戸建ての住戸群で、見守りタイプの住戸では、二戸一住戸(長屋住戸)形式をとり、庇のついた共用のポーチは嫌でもお隣さんとのコミュニケーションの場を作り、また野菜や花を栽培できる共用テラスを取り囲むように配置された各住戸は、陽の当たりにくいリビングができるデメリットを凌ぎ、各住戸のコミュニティを形成した空間形成がなされているようだった。
「運動公園住宅」は3~4階建ての鉄筋コンクリート造の中層集合住宅群でしたが、女川の海への軸線や住棟間のバッファースペース、中庭など、住民のコミュニティの維持や発展を考慮された仕掛けが見られ、非常に住みやすそうで快適な住空間であろうことが容易に想像できました。
【女川駅前レンガみち】
女川駅前レンガみち周辺地区は都市景観大賞を受賞したもので、官民一体となって取り組んできた女川の復興まちづくりの中核をなす施設として、非常に心地よい空間でした。周辺はまだまだ復興工事の途中でしたが、建物及び街並みへのデザインの質の高さや女川駅から海への空間軸は、周辺の自然や山々に溶け込み、非常に心地よい空間でした。
【仙台市荒浜小学校】
震災遺構として保存されている仙台市立荒浜小学校。震災当時300名以上の住民が屋上に避難し、レリコプターで救助される映像を見た記憶がありますが、実際に被災した建物内部や屋上から津波が押し寄せてきたであろう海や周辺地域を一望すると、当時の被災状況の地獄絵が浮かび上がり、肌寒く感じるとともに、自然の力の恐ろしさを実感しました。震災遺構として、ともすれば被災者の心の傷を呼び起こすものとして批判や反対意見も聞かれますが、ここでしか体験できない大変貴重な空間でした。
今回視察させていただいた個所は、震災復興を知る上でのほんの一断面にすぎないかもしれません。また、今回の事例は割合成功した事例ばかりであったのかもしれません。しかしその内容は濃密で、人々の葛藤や苦悩がなんだか少し理解できた気がしました。


フィールドワーク
2018.08.11
1年生を対象にしたFW(フィールドワーク)において、九州芸文館(隈研吾氏設計)へ。
今年で5年目になりますが、毎年、館長による館内の説明を頂いています。
有名建築家の建築空間を肌で感じ、ネットや書籍では伺い知ることができない話が聞け、
「デザインとは?」「誰のためのデザイン?」といった問いかけを学生自ら考えるきっかけに
なればと思います。

日本建築学会 第59回全国大学・高専卒業設計展示会
2017年度髙橋研究室ゼミ生:森瀬穂菜実さんの
卒業設計作品が出展されます 。
熊本会場:熊本大学工学部百周年記念館(熊本県熊本市中央区黒髪2-39-1)
6月20日(水)~ 6月22日(金)

雑誌掲載
『近代建築増刊 卒業制作2017 2017年 6月号』PP.306-307
2017年度髙橋研究室ゼミ生:平川綾乃さんの
卒業設計作品が掲載されました 。

受託研究:
相良ブランド化に向けた柳瀬石倉再生プロジェクトに関する研究
における既存石倉の測量調査
2018.04.27
髙橋研究室ゼミ生が、相良村柳瀬地区石倉活用計画策定のための既存石倉の測量調査を行いました。
測量の結果は、図面化し、今後の活用計画の基礎資料とします。


BIMセミナー
2018.04.24
髙橋研究室では、本年度よりBIMを導入し、ゼミ生の卒業設計に活用することとしました。
BIMとは、Building Information Modelingの略称で、作成した3次元の建物のデジタルモデルは、これまでのCGパースなどを制作する際に作られた3次元モデルとは異なり、意匠上の表現のためのモデルだけではなく、構造設計や設備設計情報のほか、コストや仕上げなど、付随する情報もすべて1つのデータで管理することが可能です。
2016年5月末に日刊建設通信新聞社により、建築設計事務所21社、ゼネコン29社、設備工事会社11社の計61社を対象に、BIMの導入・活用状況を調査した結果、8割超の企業が実績を積み、社を挙げて水平展開する推進組織を6割強の企業が設置している状況となっています。
2017年度


相良村ブランドデザイン会議ワークショップ
2017.12.12
相良村の石倉再生を議論している、相良村ブランドデザイン会議において、髙橋研究室ゼミ生と住民によるワークショップを開催しました。
まず相良村の人口構成や、地理的要因、歴史等を踏まえ、今後の相良村をどのようにしたいかを3班に分かれ議論し、最後に各班の発表を行いました。各班とも、個性的で積極的な意見がなされましたが、共通する課題や行動すべき方向性が見えてきました。
ワークショップ後、住民の方々から、いろんなことが考えれれて整理できたとの声を頂きました。
2016年度




聴竹居 視察調査
2016.09.07
聴竹居は、藤井厚二が日本の気候風土に適合した住宅の在り方 を環境工学の視点から科学的に考察した実験住宅とも呼べるもので、環境共生を謳う熊本県立大学としては、一度見学をと思い、髙橋研究室で見学をさせて頂きました。
環境工学的な工夫はもちろん、意匠・デザイン的にも素晴らしく、大工(酒徳金之助)の腕の冴えも素晴らしく、美しく、居心地のいい住環境でした。
豊島美術館 視察調査
2016.07.19
豊島美術館は、西沢立衛+内藤礼による、瀬戸内海を望む豊島の小高い丘の中腹に立地に建てられた美術館。この美術館建設を機に地元住民が中心となって再生した棚田が広がる、自然と建築、アートが融和した美しい環境をつくりだしています。
残念ながら、内部は撮影禁止のためお見せできませんが、床、壁・天井が真っ白で、ところどころ天井(屋根部分)が解放され、周辺の木々や青空が望め、風やセミの鳴き声が聞こえるといった空間でしたが、来訪者は、各々に床に寝そべったり座ったりして、自然といった化したかのような感覚は、圧倒的な空間の力を感じさせ、心打たれるものでした。
私を含め研究室ゼミ生全員、心打たれ、大学に帰ってきてからも、この感動を言葉で伝えられないもどかしさに、歯がゆい思いをしました。
ひさしぶりに、心震わす素晴らしい空間体験でした。
2015年度


越後妻有大地の芸術祭2015 視察調査
2015.08.04
このプロジェクトは平成27年度熊本県立大学地域貢献研究事業「アートプロジェクトによる地域活性化に関する研究― 瀬戸内国際芸術祭を事例とする天草市活性化の可能性 ―」の研究の一環として、高橋研究室のゼミ生を伴った視察調査に行きました。
今回で5回目となるこの越後妻有アートトリエンナーレは、このような農村地帯の過疎地域における地域活性の可能性を十分感じられ、刺激的な視察となりました。
2014年度


熊本県立大学 中庭プロジェクト
このプロジェクトは熊本県立大学 環境共生学部 居住環境学科3年生が主体となり、九州大学工学部建築学科の学生との合同ワークショップを通して、熊本県産の木材を使用した遊具の研究・創作を行うものです。
2014.11.08 中庭プロジェクト講評会を実施